🏠 PchamDB

素早さ調整の考え方

実数値ラインの読み方 — 激戦区・逆転条件・調整の逆算

この記事の数字は、当サイトのバトルエンジン(素早さ比較ツール全対戦機能と同一の計算式)で実際に計算した値です。前提(努力ポイントの振り方・性格)はすべて明示しています。

対戦で「相手より先に動けるかどうか」は、ダメージ量そのものと同じくらい勝敗を左右します。この記事では、Championsの実数値がどう計算されているかから、実際によく話題になる素早さの激戦区、そして「スカーフ・おいかぜ・まひで順位がどう入れ替わるか」までを、実数値で確認していきます。

① なぜ素早さが最重要なのか

先に動けたポケモンは、そのターンの中で相手より先にダメージを与え、状態異常を入れ、能力を積むことができます。同じ火力・同じ耐久のポケモン同士がぶつかったとき、勝敗を分けるのはほぼ確実に「どちらが先に動いたか」です。特にどちらも一撃で相手を倒せる場面(通称「打ち合い」)では、素早さの1差がそのまま勝敗の1差になります。だからこそ対戦勢は、種族値・努力ポイント・性格・持ち物・状態異常のすべてを使って、この「1差」を計算で埋めにいきます。

② Championsの実数値計算式

Championsの育成システムは、いわゆる「252振り」のシステムとは異なります。1つの能力につき最大32ポイント・6能力の合計で最大66ポイントという上限制です(個体値はどのポケモンも全能力31で固定)。

// 素早さ以外の能力の実数値(HPを除く) 実数値 = floor( ( floor((種族値×2+31)÷2) + 5 + 努力ポイント ) × 性格補正 ) // 性格補正: 上昇 ×1.1 / 無補正 ×1.0 / 下降 ×0.9 // 努力ポイント: 1能力ごと 0〜32pt(1pt = 実数値 +1、4で割る計算は無い)

この式から生まれるのが、対戦勢が使う4本の基準ラインです。

ガブリアス(素早さ種族値102)を例にした4ラインの実数値
ライン努力ポイント性格補正実数値
最速32pt×1.1169
準速32pt×1.0154
無振り0pt×1.0122
最遅0pt×0.9109

最速と最遅の差は60実数値。同じ種族値のガブリアス同士でも、育成の組み方だけでこれだけ変わります。相手の型が読めないときは「最速だったら」を前提に動くのが安全な理由がここにあります。

③ 実数値ラインの実例(素早さの激戦区3つ)

種族値には、多くのポケモンが集まる「激戦区」があります。ここに自分の育成が引っかかると、1ポイントの差が抜ける・抜かれるを分けます。

130族(最速タイの代表格)

素早さ種族値130前後。サンダースとプテラは種族値が同じで、最速同士だと「同速」になる
ポケモン種族値最速準速無振り最遅
サンダース130200182150135
プテラ130200182150135
ファイアロー126195178146131
マニューラ125194177145130

サンダースとプテラは最速同士だと実数値200で完全な同速(先手は乱数)になります。ファイアロー(195)・マニューラ(194)はどちらもここに一歩届かず、130族に対しては最速でも後手に回ります。

120族(最速圏の混戦)

素早さ種族値120前後。1〜3の種族値差が、そのまま最速同士の抜き抜かれに直結する
ポケモン種族値最速準速無振り最遅
オンバーン123192175143128
マスカーニャ123192175143128
ゲッコウガ122191174142127
ジュカイン120189172140126
フーディン120189172140126

オンバーンとマスカーニャはここでも最速同士なら同速。ゲッコウガはたった実数値1(191)差でその下、ジュカイン・フーディンはさらに実数値2差の189です。この階層では「1ポイントの調整をサボると、丸ごと1段落ちる」ことが起こります。

100族前後(定番アタッカー・耐久寄りの分岐点)

素早さ種族値80〜120。準速や無振りでの運用も選択肢に入りやすい帯
ポケモン種族値最速準速無振り最遅
エルフーン116184168136122
ガブリアス102169154122109
ミミッキュ96162148116104
カイリュー8014513210090

この帯は最速一辺倒ではなく、「無振りガブリアス(122)をどこまで抜くか」「準速カイリュー(132)に届くか」を基準に、他の能力に努力ポイントを回す判断が生まれる帯でもあります。

④ スカーフ・おいかぜ・まひで、順位はどう入れ替わるか

実数値だけでは覆せない差でも、道具・場の効果・状態異常が絡むと簡単にひっくり返ります。実効すばやさは「ランク補正 → まひ(×0.5) → こだわりスカーフ(×1.5) → おいかぜ(×2)」の順で計算されます。

検算済み

メタグロス(最速・素早さ種族値70)は、地力ではガブリアス(最速・種族値102)に全く歯が立たない。こだわりスカーフ(×1.5)を持たせると——

134メタグロス(スカーフなし)
169ガブリアス(最速)
201メタグロス(スカーフあり)
スカーフを持つと逆転する。地力134では169に届かないが、スカーフで201まで伸びれば余裕で上から取れる。ただし種族値差が大きすぎる相手には、スカーフ1.5倍でも届かないことがある(後述の⑤参照)。
検算済み

メタグロス(最速・スカーフなし)はドラパルト(最速・種族値142)に大差で負けている。おいかぜ(×2)を受けると——

134メタグロス(おいかぜなし)
213ドラパルト(最速)
268メタグロス(おいかぜあり)
おいかぜで逆転する。種族値70と142という大差(実数値で79差)を、おいかぜの2倍が一気に覆す。スカーフの1.5倍では埋まらない差でも、おいかぜならひっくり返せることがある。
検算済み

ドラパルト(最速・種族値142)は通常ならガブリアス(無振り・種族値102)に確実に勝つ。ドラパルトがまひ状態になると——

106ドラパルト(まひ・実効すばやさ)
122ガブリアス(無振り)
まひでガブリアスが逆転する。ドラパルトの最速213は、まひの×0.5で106まで落ちる。無振りのガブリアス(122)にすら負ける水準まで下がるため、「速い相手にはまひを入れる」が対戦の基本戦術になっている理由がここにある。

⑤ 調整の実践: 「何ポイント必要か」を逆算する

実戦では「このポケモンを抜くには何ポイント積めばいいか」を先に決めて育成することがほとんどです。式を逆から使えば、必要な最低ポイントがすぐ分かります。

検算済み

準速運用(素早さ32pt・性格無補正)のカイリュー(種族値80・実数値132)を、サーフゴー(種族値84)が上から取るには何ポイント必要か。

132準速カイリューの実数値
29pt〜サーフゴー(性格無補正)で必要な最低ポイント
17pt〜サーフゴー(性格上昇補正)で必要な最低ポイント
性格を素早さ上昇補正にするだけで、必要ポイントが29ptから17ptまで減る。浮いた15pt前後を他の能力(こうげきや耐久)に回せるので、「性格でどれだけ浮かせられるか」を先に確認する価値がある。
検算済み

無振りのジュカイン(種族値120・実数値140)を、ゲッコウガ(種族値122)が抜くには何ポイント必要か。

140無振りジュカインの実数値
0ptゲッコウガ(性格無補正)で必要な最低ポイント
ゲッコウガは無振り・性格無補正でも実数値142あり、種族値差2だけですでに上から取れている。「投資ゼロでもすでに抜けている」関係を見落として、余計にポイントを割くのは無駄になる。
検算済み(参考=投資だけでは届かない例)

最速ガブリアス(種族値102・実数値169)を、ミミッキュ(種族値96)が性格上昇+32pt全振りで抜けるか。

169最速ガブリアスの実数値
162ミミッキュ(性格上昇+32pt全振り)の実数値
全振りしても7実数値足りず届かない。努力ポイントの上限は32ptなので、種族値差が大きい相手には投資だけでは追いつけないことがある。この場合は④で見たスカーフ・おいかぜ・まひのような「別の手段」が必要になる——これが素早さ調整で育成と戦術がつながる部分。

自分が今組んでいるポケモンで同じ計算をしたいときは、素早さ比較ツールで相手の名前を検索すれば、この記事と同じ式で4ラインすべてを一覧できます。

自分の調整ラインを確かめる相手のポケモンを選ぶだけで、抜ける・抜かれるが一覧で分かります。
素早さ比較ツールを開く →

この記事の実数値はすべて、当サイトのバトルエンジン(real_battle_simulator.htmlのcalcRealStat・effectiveSpeed関数)と同じ式をNode.jsで再計算して算出しています。ダメージ計算やターンの処理順についてはバトルの計算と1ターンの流れもあわせてどうぞ。